美的生活のススメ 五感で感じる、夏の「涼」

猛暑日が当たり前のようになっている近年の夏。せっかくならただ我慢や無理をするだけでなく、涼を演出する「粋」や「風雅」を暮らしに取り入れたいもの。五感で涼を感じる、夏の暮らし術をご紹介します。

心地良い風と暮らす

エアコンだと体が冷えすぎてしまうという声もあり、このところ扇風機にも注目が集まっています。室内に風が巡回するだけで、意外と涼しいことを再認識された方も多いのでは?今年は風ともっと上手につきあい、暮らしの快適度をぐっと上げましょう。

窓を開け、風の通り道をつくりましょう

外ではいい風が吹いているのに、窓を開けてもソヨリともしないときがあります。
実は窓を1ヵ所開けただけでは、風を上手に呼び込むことはできません。風の入り口と出口を作り、できれば南北または東西の2方向の窓を開け放し、効率良く風を通してあげましょう。窓が片側にしかない場合はドアを開け、他の部屋の窓をオープン。こうすると風の通り道ができ、心地良い風が抜けていきます。

また、風の入り口になる風上側の窓を小さく、出口となる風下側の窓を大きく開けるのが窓の開け方のコツ。こうすると風の勢いが増し、より涼しく感じられるはずです。
今日の風向きを見ながら、窓の開け方も工夫してみてくださいね。

汚れのないキレイな網戸で、風通しをアップ!

風を効率良く取り入れるために、意外と忘れがちなのが網戸のお掃除。汚れた網戸は目が詰まってしまい、風の通りを悪くするので要注意です。
また、網戸の汚れがカーテンにくっついて黒ずむと、見た目にも暑苦しい雰囲気に・・・。洗濯物を取り込むときも、せっかく洗った衣類が網戸に触れて汚れたりしたら台無しですよね。
そんな憂き目に遭わぬよう、網戸の掃除はしっかりしておきたいものです。でも、「この暑いなか、わざわざ網戸掃除をするなんて」と二の足を踏みたくなることも・・・。
そこで活躍するのが、わざわざ網戸をはずして洗わなくてもラクに掃除ができる「網戸ワイパー」です。
ワイパーブラシに専用シートを取付けたら、あとはサッとひと拭きするだけ。みるみるうちに汚れがとれて、涼やかな風を招くキレイな網戸ができあがります。
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扇風機を賢く使って、節電と涼しさを両立

窓から外の風を最大限に呼び込んだら、ここで活用したいのが扇風機。こちらも使い方をひと工夫するだけで、風通しアップを図れます。

たとえば帰宅したばかりで部屋に熱気がこもっているとき、または無風の日には、風の出口になる風下の窓際に扇風機を置き、熱気を追い出すように窓に向けてまわすと効果的。
反対に外の風を取り入れたいときは、風の入り口になる風上の窓際ギリギリに置いて、窓を背にしてまわすのが良いでしょう。

そして冷房を入れた際には、上を向かせて冷気を循環。扇風機の置き場所や角度をこまめに変えるのも、いい風を起こすためのテクニックです。

光の陰影を楽しむ

ぎらぎらと照りつける夏の太陽。外から室内に入ってくる熱の50%以上は、窓から入り込むとされています。家の中に不要な熱を取り込まないためにも、日除けをして窓から入る日ざしと熱をカットすることが大切です。

夏の強い日ざしを遮りながら、光を楽しむ

太陽の光が燦々と降り注ぐ住まいは、明るくて開放感たっぷり。でも夏ともなると、熱がこもりやすいのも困ったものです。
そこでおおいに活用したいのが、昔から使われている「すだれ」や「よしず」。
これらはカーテンと違い室外に設置するものなので、窓辺だけでなく壁に当たる日ざしを弱め、風も心地良く通してくれます。さらに「すだれ」や「よしず」を通して落ちる光と影のハーモニーが、風情ある夏の情景を演出します。

簾(すだれ)とよしずはどう違う?

「すだれ」と「よしず」、どちらも似たようなイメージですが、その使い方や素材はやや異なります。
窓の外や軒先に垂らして使い、主に竹を細かく割き、太さを揃え、縦糸で一本ずつ編み上げるのが「すだれ」。これに対し、3メートルほどの葦をシュロ糸で結びつなげ、軒下などに立て掛けて使うのが「よしず」です。
どちらも古い歴史を持ち、すだれは平安時代の貴族の住まいに使われた「御簾(みす)」がそのルーツ。当時は部屋の中や外を分ける仕切りや目隠しを用途とし、絹の縁飾りや房を垂らした高級品でもありました。源氏物語絵巻の中にも登場するのを、目にした覚えがあるのではないでしょうか。
そんな「すだれ」や「よしず」を上手に利用し、涼し気な風情を引き立てているのが京の町家。6月を過ぎると窓に「すだれ」が掛けられ、道路に面しては「よしず」が掛けられるのが京の夏の風景です。
夏の日ざしをやわらげながら、光と影が織り成す空間を楽しむ。そんな夏時間を今年は過ごしてみてはいかがでしょう。

左:簾(すだれ) 右:よしず

涼やかな緑に癒されて

風や光に加え、夏の涼を演出するのに欠かせないのが植物。清々しさをテーマに花やグリーンをあしらえば、気分まで爽やかになるから不思議。
和の伝統的な飾りや、籠やガラスなどの涼しげな器を上手に使ってアレンジしてみましょう。

シダの葉が風にそよぐ、和の空中庭園「つりしのぶ」

夏の軒先で揺れるものと言えば、涼やかな音を鳴らす風鈴。その風鈴と並び、古くより愛されさてきたのが「つりしのぶ」です。
これは竹などの芯材に山苔を巻き付け、その上にシダ植物のしのぶを束ねて形作ったもので、江戸時代に庭師がひいき先への夏のご挨拶用に作ったのが始まり。
苔玉のようなシンプルな形のものから、いかだ、小舟、井戸、帆掛け船、灯籠などさまざまなデザインがあるのも特徴です。

ガラスの風鈴と違って生きた植物ですから、直射日光を避けて吊るし、乾いたらバケツにはった水にしっかり浸けてあげることが大切。
かの小林一茶が「水かけて 夜にしたたる つりしのぶ」と詠った夏の風物詩を、この夏は楽しんでみませんか。

※つりしのぶは園芸店や専門店などで購入できます。

夏の花あしらいは、籠やガラスを使って涼しく粋に

夏は花を生けるときも、涼しげなアレンジメントで楽しみたいもの。
器に籠やガラスなどの素材を使い、花は控えめにして空間を生かし、スラッとした利休草などを効果的に使うとスッキリまとまります。
「美的生活のススメ」でお馴染みのフローラルデザイナー 野崎由理香さんが、今回も素敵な花あしらいをご紹介。花とグリーンが目と心を癒し、お部屋に涼を運んできます。

籠に生けた和風アレンジ
涼しげなグリーンの葉や、ブルー系の花を取り入れたアレンジです。縦にいけたグリーンスケールや、手前や左右に入れた利休草が、涼感をより一層演出。特に、初夏から夏に出回る利休草は、先端のスラッとした部分を効果的に使うことにより、涼しげな印象がアップします。
作り方
和風な籠の片隅に小さな器(高さのない小さな器なら何でもOK)を置き、吸水性スポンジをセット。空間と高低差を生かしながら花やグリーンを挿す。 ※透明な器を使う場合は、グリーンなどを横向きに挿して、吸水性スポンジを隠すとよい。
花材
  • グリーンスケール
  • 利休草
  • クレマチス[品種名:ドランディ]
  • ササバリンドウ
ここがポイント!
籠にめいっぱい花などを入れてしまうと、暑苦しい雰囲気になってしまいます。籠の空間を十分生かす程度の少なめの花を使い、あとはグリーンで上手に演出しましょう。籠はわざわざ購入しなくても、和菓子などが入っていた籠などを利用してもいいですね。
ガラスに生けた夏の花
ガラスの器に、夏の花の代表であるヒマワリなどをアレンジ。カーブのラインがきれいな黄緑色のデンファレと、スラッとした葉の利休草を長めに挿し、涼やかに仕上げました。剣山を隠す目的とディスプレー効果を兼ね、海辺をイメージするサンゴ砂をプラス。
作り方
ガラス器に小さな剣山をセット。花やグリーンをアレンジしたあと、サンゴ砂を入れる。
花材
  • 利休草
  • デンファレ[品種名:レモンブーケ]
  • ヒマワリ[品種名:東北八重]
ここがポイント!
こちらも花やグリーンを入れ過ぎないようにし、空間を生かすような生け方で。剣山が見えないようにサンゴ砂でしっかり隠し、器内もきれいにならします。ヒマワリは写真の東北八重という品種や、レモンイエローのもの(例えば、モネという品種など)がおすすめ。利休草の先端部分をいかして、スラッとアレンジしましょう。まわりに貝殻などをさりげなく置いても涼しげです。
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